
太古の昔、この地球は森におおわれた緑の星でした。
それから長い時が流れ文明が高度に発達した現代、たくさんの緑は失われて都会の空気の中で私たちは当たり前のように暮らしています。
しかし、時代が変わっても森の中で深呼吸をすると「空気がおいしい」と感じます。
栄養のある森の空気が人間にとって必要であることを、私たちの体は覚えています。
今から約40年程前に、当時の「林野庁」の提唱で、樹木に接し、癒しを求める行為として「森林浴」という言葉がうまれました。森林浴は身体に良いとされており、欧米では「森林浴セラピー」や「自然療法」として森林浴が実際に医療の現場で実用化されており、保険が適用される国もあります。森林浴はとても健康的で、次のような効能が期待されています。

「リラックス」「癒し」「マイナスイオン」など、ストレスを和らげたりリラックスできるイメージがあると思います。
一般的にこれらの癒し効果はまとめて森林浴効果と呼ばれています。
爽やかな空気の中で深呼吸してみると、何となく都会には無いような自然ならではの「香り」に気づくはずです。
この不思議な香りには次のような効果が実証されています。


生理・心理・物理実験を、都市部と森林部で行った結果、唾液の中のコルチゾールという「ストレスホルモン」が都市部に比べ、森林では濃度が低くなるということがわかりました。
また、心拍の「ゆらぎ」の測定で、森林ではストレスの高い時に高まる「交感神経活動」が抑制され、リラックスした時に高まる「副交感神経活動」が昂進するということ、さらに脳の前頭前野の活動が鎮静化しリラックスすることがわかりました。
免疫能についても2泊3日の森林浴でNK活性(ナチュラルキラー活性)が高まることがわかりました。

森林内の環境

森林の香り成分(フィトンチッド)
森林セラピーロードにおけるフィトンチッド量
植物の放出する化学物質(α-ピネンやリモネンなどのフィトンチッド)を測定。
樹木の発散する化学成分であるフィトンチッドは、森林セラピーロードにおいてイソプレンが最も多く、α-ピネン、カンフェン、β-ピネンなどが検出された。

森林浴で心理的にリラックス
森林部と都市部におけるPOMSによる心理的変化
アンケート用紙を用いて人の気分(緊張や不安、活気など)を測定するPOMSを使用。
森林浴歩行後、森林は都市と比較して「緊張」「疲労」の気分が緩和され、「活気」が高まることがわかった。

森林浴でストレスホルモンが減少
森林部と都市部における唾液中コルチゾール濃度の推移
コルチゾールは代表的なストレスホルモンで、ストレス時に濃度が上昇。唾液から濃度を測定した。
図はストレスホルモンであるコルチゾール濃度を示す。森林浴歩行において、森林は都市に比べストレスホルモンが減少した。

森林浴で血圧や脈拍数が減少
森林部と都市部における血圧および脈拍数の変化
収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍数はストレスがかかると上昇する。
図は収縮期血圧および脈拍数を示す。森林浴において、収縮期血圧および脈拍数が都市に比べて低下していることがわかる。森林の方が都市よりリラックスしている状態にある。

森林浴で交感神経活動が低下
森林部と都市部における心拍変動性(交感神経)の推移
心拍の揺らぎを解析することにより、自律神経活動を副交感神経活動(リラックス時に昂進)と交感神経活動(ストレス時に昂進)に分けて数値化。
図はストレスの指標である、交感神経の活性化を示す。森林浴において、森林は都市に比べ交感神経活動が低下し、ストレスが緩和されていることがわかる。

森林浴により抗がんタンパク質が増加する
森林浴による抗がんタンパク質の変化
図は森林浴前と2日間の森林浴の主要な抗がんタンパク質の変化を示す。森林浴によって、グラニュライシン・パーフォリン・グランザイムの主要な3種類の抗がんタンパク質が増加したことがわかる。
森林浴によって抗がんタンパク質が増加し、がんに対する抵抗性が高まったことがわかる。

森林浴によりNK活性が増強する
森林浴による免疫能(NK活性)の変化
図は森林浴前と2日間の森林浴のNK活性の変化を示す。森林浴によって、ヒトのNK活性が1日で27%、2日で53%増強されたことがわかる。
森林浴によってNK活性が増強し、がんに対する抵抗性が高まったことがわかる。